強い思い形にしたい

― 高校教師 ―
朝西知徳さん(40)
(米子市)

    

試合前のノックをする朝西さん


何度、声をからしたことだろう−。米子松蔭高硬式野球部監督でもある朝西さんの「青春映画のクライマックス」は、最後の大会を迎える選手たちに、映画監督=指導者が送るメッセージになっている。

 グラウンドで毎日繰り返される練習。ウォーミングアップをする選手を遠くに見つめながら、「彼らに対する強い思いを形あるもので伝えたい」と白いキャンバスに絵を描くように、急いで文字をつづった。執筆活動に意欲的な朝西さんならではの思いつきだ。

 託した思いは、「2年と4カ月の間、怒鳴ってばかりいた監督の、せめてもの罪滅ぼし」。特に現チームは、先輩たちが築き上げてきた西部地区リーグ戦連続1位を更新できなかった上、礼儀や身なりで何度も監督の怒声を浴びた。

 挫折をバネに、練習に励んだ選手。春の県大会で3位に食い込み、3年連続のベスト4入り。先輩の功績を見事に引き継ぎ、「高校野球とは、挫折を繰り返して人間として強くなれるステージ」との監督の持論を実証してみせた。

 そして映画は、いよいよクライマックス=最後の夏を迎える。結果がどうなろうとも「好きなように演じるがよい」。どのチームの監督にも通じる、共通の願いではなかろうか。


H18.7.13(木)日本海新聞より